大阪市立大学大学院創造都市研究科都市政策専攻都市共生社会研究分野

co-existing.com
修士課程 博士課程 フォーラム・シンポジウム お問合せ
予定表 教員紹介 リンク メンバー専用
 トップページ > 教員紹介 > 弘田 洋二(ヒロタ ヨウジ)教授

弘田 洋二(ヒロタ ヨウジ)教授

弘田 洋二

大阪府立公衆衛生研究所・精神衛生部において心理技術吏員として心理アセスメントと心理療法の実践研究を行う。大阪府こころの健康総合センター開設時、同相談診療部・デイケア科勤務。精神科外来デイケアにおける集団マネジメントと環境調整、参加メンバー個々の精神力動理解に基づいた援助プログラムの開発にかかわる。2年後大阪市立大学文学部助教授就任。教育学教室において、学校教育場面における心理臨床的理解の意義と応用について研究と教育に携わる。
創造都市研究科・都市共生社会研究分野の担当講義は、自身の実践経験のふたつの柱と関連する。ひとつは、臨床研究の方法の中核である「事例研究」について、他の学問領域におけるさまざまなケーススタディーとの異同を論じ、力動的理解において果たす事例研究の特異的重要性を明確にすること、もうひとつは、援助関係における関係性評価(関係の構成要素、内容についてのアセスメント)に立脚し、目的とそれに見合った援助関係の形成に関する実践研究である。「共生社会研究分野」は、共生という価値目標、社会運動的論理を内在させており、これまでの臨床経験をとおしたスタンスの拡張工事が必要であり、土壌改良と建築部分の一部改装に取り組み中。


【主な研究内容】

  1. 「心理療法・カウンセリングにおける関係性理解」
    私の実践は、相談に来た人の話を聞き、その現実および対人関係についての理解を読み取り、それがその人の生き方にどのように影響を与えているのかを一緒に考えるというスタンスで行っている。相談に来る人の経験、想いの強さ、パーソナリティーなどの要因、そしてそこから生まれる「語り」と、それが聞き手に及ぼして生じる反応が相互に影響しあう対話の営みには、非常に幅広く奥深いバリエーションがある。これまでの実践は一定の「構造」をもった場で行ってきたものであり、一定の知見やスタンダードが存在していたが、いま、共生の実現に向けた人々のかかわりは、対話の前提となる条件がより複雑で多様なので、まだ、スタンダードすら形成されていない部分も多々ある。そのような条件下で、関係調整を意図的であれ非意図的であれしてきた実践家である院生諸氏と新たな領域に向けて研究を発展させたい。
  2. 「パーソナリティーのアセスメント」
    対話場面で形成される関係性は、個人とペアーの数だけ無限にあるのではなく、一定の規則とパターンをもっている。お互いの現実利益への関心、心理状態、考え方やものの見方などの組み合わせによって関係は変化するが、おおむね個人の人との関係のもち方には、相手や状況が変わっても、同じ結果になるという面もある。ときに「性格は運命」と言われるように、パーソナリティーは生き方の癖でもある。対話を営むとき、自分および相手の癖を理解し、病理的で目的にむかって機能しないような相互交流に陥らないように、関係性を観察することが重要である。メンタルヘルスの領域では当然のことであるが、より大きな社会関係に焦点が当たる領域では、そのアセスメントの意義は微妙な位置に置かれる。個人を規定するものとしての社会が前提に置かれて、問題の所在が広いところに求められるからである。集団心理学の研究では、集団内の個人やそこに形成されるサブグループの特徴が、集団全体に及ぼす影響は注目されている。共生社会の実現という目標に向けて、問題をどの水準に定位してとらえるのかが問題である。
  3. 「ストレス問題の臨床研究」
    ストレスという言葉がいまや日常語になっているが、それほど現代社会においては、人が心理的負担を感じているという自覚をもつようになっているということであろう。そして、メンタルヘルスの問題は、「誰もが陥る可能性のある(厚生労働省)」こととして位置づけられようとしている。臨床場面は、精神的不調に陥った人が診療や相談にやってくるという構造であり、その知見は、ストレスはあってもそれを乗り越えるように援助するという関係の中で生まれる。したがって、臨床研究は個人の病理や脆弱性に焦点をあてる。ロールシャハ・テストによるものなど私の研究もその文脈で行っている。PTSDをはじめストレス疾患に対して、その治療に社会的理解と現実関係の改変が求められる動きが生じている。ストレスを生み出している環境条件に直接的な働きかけをすることが要請されていると言ってもよい。そのことによって、これまで常識とされてきた社会関係が点検し直されるのは必然で、さまざまな摩擦が避けられないであろう。共生という観点から、どのようにストレスを取り除くことにかかわっていくか、今後の検討課題である。

▲このページのトップへ

【主な社会的活動】

  1. 所属学会
    日本心理臨床学会、日本精神分析学会、日本ロールシャッハ学会、日本思春期青年期精神医学会、日本教育心理学会
  2. 専門機関との連携
    大阪府中央子ども家庭センター嘱託、ケーススーパービジョン、コンサルテーション
    子育て支援事業、キンダーカウンセラー

▲このページのトップへ


業績一覧


論文名・発行所 論文および著作のタイトル 「臨床心理学」的な意義から、「共生社会研究」へのつながりを求めたコメント
大阪市立大学生活科学部児童・家族相談所紀要第1号 かつて自閉症と診断された男児−そのnegativismとaggression−、54-67ページ。 象徴的な遊びをとおして、悪い自己からの蘇生を表現したプレイセラピーと、子どもの内的な関係表彰の変化のプロセスを考察した。「共生」には、他者のこころの理解は欠かせないところ。
大阪府青少年問題研究第32号 青年期ナルシシズムの研究−ロールシャッハ・テストとの関連においてー、1-17ページ。 修士論文を縮小したもの。青年期の自己愛について論じている。現代社会において、自己愛をキーワードとしたパーソナリティー理解は重要である。
大阪市立大学生活科学部児童・家族相談所紀要第2号 ある自閉傾向の強い男児とその治療者との関係のあり方ー治療者にさせる体験と遊びの選択をめぐってー、59-71ページ。 自閉症の子供と意味体験を共有しようとしたかかわりの試みと、そのような治療者の期待への反応として子どものしたことを意味づけ、関係性について論考した。
南海保育専門学校紀要第3号 ある夜尿児の箱庭療法の過程ー箱庭導入の過程をめぐってー、103-114ページ。 夜尿症の女子児童との遊戯療法のプロセスを記述し、特に箱庭作品をとおして本児の内的世界の特徴について考察した。
心理臨床学研究第3巻第2号 風景構成法の基礎的研究−発達的な様相を中心にー、58-70ページ。 「風景構成法」という描画の一方法について、描画特徴の発達的変化を報告した。この描画法は、検査的な侵入性が少なく、コミュニケーションの媒介物としても利用される。
丹下庄一編『カウンセリングと家庭教育』創元社 (第7章)教育とカウンセリング、135-155ページ。 教師がバーンアウトしそうになった、不登校生徒への関わりを挙げ、リエゾン・コンサルテーションの重要性を論じた。共生をめざす支援にも必要な理解である。
大阪市立大学生活科学部児童・家族相談所紀要第4号 思春期心身症、登校拒否の一症例−ロールシャッハ・テスト、面接過程を通じての分析−、42-68ページ。 思春期の心身症の症例をとおして、心身症的人格の心理的特徴を検討した。ストレス疾患において、外的ストレスとストレス処理機構としての「こころ」の関係を考えることができる。
心理臨床学研究第5巻第2号 風景構成法による神経症的登校拒否の研究58-70ページ。(長屋と共同) 児童相談所の心理判定において集積された登校拒否児の描画の特徴を分析し、登校拒否の類型との関連を探った。
大阪市立大学生活科学部紀要第36巻 「風景構成法」に関する研究ー箱庭作品との関連ー、179-187ページ。(岩堂らと共同) パーソナリティー研究および治療の道具間の関連を探った研究であり、共生社会研究と直接的に関わるところは少ない。
大阪府立公衆衛生研究所報、精神衛生編第26号 過換気症候群(HVS)のロールシャッハ・テストー心身症論のなかでの検討ー、85-91ページ。(藤本らと共同) 過換気発作を生じる症例の類型化のもとに、それとロールシャッハ・テスト特徴との相関関係を報告した。これも臨床場面に特化した研究であり、共生社会研究に直接かかわる部分少ない。
大阪府立公衆衛生研究所報、精神衛生編第27号 回避性人格障害(AvoidantPersonalityDisorder)についての考察ー心理療法の経過とロールシャッハ・テストよりー、55-62ページ。 近年社会問題としても浮上しつつある人格障害のうち、「ひきこもり」との関連が強いタイプの人格障害のパーソナリティー研究。「共生」支援活動の背景として、人格についての理解をもっておくことは有効であると思う。
大阪市立大学生活科学部紀要第38巻 「風景構成法」に関する研究(その2)−ロールシャッハ・テストとの関連ー、181-189ページ。(岩堂らと共同) パーソナリティー・アセスメントの道具間の相関の研究。心理アセスメント開発に集中しており、示された結果自体は共生社会との関連は乏しい。
大阪府立公衆衛生研究所報、精神衛生編第28号 思春期・青年期の強迫(第1報)−ロールシャッハ・テストによる考察ー、59-67ページ。(飯田らと共同) 強迫パーソナリティーは、いわゆるヒステリー性格と並んで、臨床における人格理解の用語として通用してきた。しかし、思春期・青年期の強迫症例において、それまでの通念とは異なった理解が必要であることを論じた。
大阪府立公衆衛生研究所報、精神衛生編第29号 ロールシャッハ・テストによる職場不適応症の研究ーテスト、再テストとRPRSによる考察ー、45-53ページ。(夏目らと共同) 特定の精神症状を示さないがゆえに、ストレス反応として理解される職場不適応症は大人における不登校との理解がされる。その中核群についてのパーソナリティー研究。ストレス脆弱性について心理学的な理解が示されている。
大阪府立公衆衛生研究所報、精神衛生編第30号 ロールシャッハ・テストによる職場不適応症の研究ーその2青年期、プレ中年期を対象にー、35-45ページ。(夏目らと共同) 「おとなしい」中年期の人とは必ずしもいえない、そもそも「組織人」たることがむつかしいタイプの人もいる。その人たちも自ら困っている場合が多いが、単に「困り者」と受け取られることもある。援助技法は、その対称に見合ったものでなければならず、「平等に手厚く」とはいきにくい。「共生」と「平等」について考える素材となる現実である。
大阪府立公衆衛生研究所報、精神衛生編第31号 ロールシャッハ・テストにみられる防衛の病理性・原始的防衛についてー精神療法の経過との照合から治療関係の予測へー、71-81ページ。 カウンセリングをはじめとした対話による援助活動は、良好な人間関係のもとに運ぶとは限らない。援助者の側の問題が影響することもあるし、かならずしもそうでない場合もあるが、その関係を生き延びねばならない。そのために「相手を知る」ということも大事である。支援関係の理解に不可欠と思う。
『境界例‐パーソナリティーの病理と治療』、岩崎学術出版社 羨望によって社会性、女性性の確立が困難であった症例、11-34ページ。 人が生まれながらにしてセクシャリティーと関連した、人および社会との関係をもっていく。それをとおして「私」のアイデンティティーが形成されていく。セクシャリティーの問題は、ジェンダーロールという社会的概念では汲みつくせぬところがあるのがわかると思う。
あ大阪府立こころの健康総合センター研究紀要第1号 精神科デイケアにおける患者理解と援助目標についてーロールシャッハ・テストに基づく心理診断的理解、力動的観点からの考察ー、1-9ページ。(岡本らと共同) 精神障害の患者の退院を促進する施策に伴って、デイケアによる自立・生活支援が広がった。デイケア参加メンバーの個々のケアプランを作成するためのアセスメントの結果と解釈。
人文研究第48巻第9分冊 教育臨床学へのアプローチー治療的・発達的理解と教育との関連ー、109-133ページ。 教育の現場が、子どもの精神発達にていての理解をしっかりもっておく必要性を述べた。それが専門家どうしのコ・ワークが機能するための基礎になるからである。発達という概念を能力主義的と考えてしまうのはおかしなことです。発達的理解は「共生」という関係の理解にとって重要です。
教育学論集第23号 「生きる力」についての考察−教育臨床学的観点からー1-13ページ。 平成8年度に出された中教審答申の骨格部分をなす「生きる力」について論じた。答申における「生きる力」という言葉と関連して述べられていることが、「口当たり」がよいだけの極めて漠然としたものであったことを指摘しました。認識に力がないと、「学力」論争による巻き返しでダウンしやすいと思います。あらゆる運動とバックラッシュとの関係についても言える。
季刊心理臨床第10巻2号、星和書店 ボーダーラインをめぐる問題から、79-83ページ。 「その後のボーダーライン」という特集への寄稿。ボーダーライン・パーソナリティーをめぐる議論を振り返り、人格水準についての理解とそれに対応した概念使用の必要性について述べた。多くの立場の人がそれなりの理解で言葉を使うとき、概念の本質的な意義が拡散してゆくのは、臨床に限らずみられる現象です。
人文研究第49巻第1分冊 人格形成と道徳性との関係についてー関係性の内在化という視点からー、45-63ページ。 規範意識や道徳性の低下が叫ばれる現代社会において、その回復の試みが全体主義的な発想でなされようとしている。政治的意図を持たない人でも、民主主義社会における道徳性の形成に関する理解を欠いてしまうと、そうした動きに同調する危険がある。共生社会研究ときわめて直接関連する論考。
教育学論集第25号 「間主観性」概念の臨床的意義についてー特に、「共感」との関連においてー、1-14ページ。 間主観性という概念は、人と人の間に生じることがらを、一方の側の病理のみによって説明することへの反論として、臨床では改めて注目されるようになった。援助関係を反省的にとらえ直す際に、非常に貴重な概念である。
人文研究第52巻第7分冊 間主観的交流相の表・裏ー病理的関係から抜け出ることをめぐってー、65-80ページ。 間主観性という概念は、関係する双方がお互いに影響を与えあっているという事態に光を当てた概念である。コミュニケーションは言葉による内容伝達ばかりではなく、内容に伴って体験される双方の情動の交流もある。コミュニケーションの多層性についての理解は、「共生」ばかりでなく社会関係の理解を深化させる。
心理臨床学研究第19巻第1号 ロールシャッハ・テストからみた病態に特徴的な体験構造ー思春期妄想症、摂食障害の作話性反応を通してー、23-34ページ。(東と共同) ロールシャッハ・テストによるアセスメントの重要性は、力動解釈を可能にする点である。力動的な理解を含んだ分類によって、病態に特徴的なパーソナリティーについて論じた。対話を営む上で役に立つ情報は、力動的な理解によってこそ抽出される。
(学位論文) ロールシャッハ・テスト反応の認知構造分析と人格病理に関する臨床研究ー認知体験と情動、思考、防衛の関連ー、(本文213ページ) 博士論文(学術・大阪市立大学)。認知というものが、どのような要素、および要素間の組み合わせによって成り立っているかを推論することが、ロールシャッハ・テスト反応の解析の重要な側面である。さまざまな臨床的類型のテスト特徴を報告しながら、力動的な理解を示した。
人文研究第53巻第3分冊 情動と思考の関連についてーロールシャッハ・テスト反応の認知構造分析よりー、91−103ページ。 「思考は情動を説明するためにはたらく」とは、純粋の知的対象を考えるのではない、われわれの日常での思考の働きについていわれた言葉である。とかく、分離して論じられがちだったこれらの精神機能の関連について、テスト反応をとおして具体的に論証した。
ロールシャッハ法研究、第6巻 作話性反応の構造理解に関する研究、13−27ページ。(東と共同) ロールシャッハ・テストにおいて、重い精神病理と関連が深いとされてきた作話性反応について、その反応構造を一部分析し、その反応を生じる認知構造の特徴を論じた。
大阪府こころの健康総合センター紀要第8号 デイケアにおける集団心理療法についてー心理力動的な観点からの報告、(三浦らと共同)11−17ページ。 デイケアで行っているグループの対話プログラムの運営について報告した。ファシリテーターが、メンバーの特徴に応じて心がけておくべきことを臨床的な類型と関連させて論じた。精神障害者の自立支援という「共生」研究の一領域と深く関連する。
野口道彦・柏木宏編著『共生社会の創造とNPO』、明石書店 共生社会と心理的エンパワーメントー援助活動の多様化と心理学理論の関係―、219-236ページ 構造化された場面ばかりではなく、アウトリーチをはじめとする、援助的かかわりの場は広がりを見せている。それでも、対話は、相手の様子を見て判断した(アセスメント)情報をともなって有効に営まれる必要がある。エンパワーメントをキーワードに、適正な関係の営みについて考えた。
共生社会研究という挑戦ー専門性と研究のスタンスからー(2004) 共生社会研究創刊準備号(大阪市立大学共生社会研究会)PP.7-10. 共生社会の実現をめざすという活動は、現存する差別や排除の問題を明らかにすると同時に、それらを是正する実際的な行動を含んでいる。実際的、現実的な行動は、それら活動をこそ正しいものという前提の上に成り立つのであるが、研究としてみるとき、そこから生まれる報告や考察はともすれば無批判的な自己肯定に陥る危険をもっている。多くの援助活動においてその傾向が明らかであり、課題を設定して明らかにするという客観的な研究のスタイルをどのように実現すべきなのかという問題提起をした。
理想的な対象との関係の変遷ー自己視線恐怖の一症例との治療経験の考察ー(2006) 日本思春期青年期精神医学会第16巻第1号,pp.75-86. 思春期妄想症と診断された症例に関する研究。治療経過を示し、患者の症状と生育暦における養育関係との関連を記述した。そして、患者の現実適応を阻害していた症状と、著しい自己評価の低下がどのような背景をもって生じてきたのかを論じた。治療関係を理想化したが、治療に来ることのみを目的とするような依存的な態度を形成した。彼が現実に対応できるようになるには、自己の中に内在化された理想像を持つ必要があった。患者が示した原始的な性質の理想化について理論的な検討を行った。
共著『現場に生かす精神科チーム連携の実際』(2006) 藤本修他編著、『現場に生かす精神科チーム連携の実際』、創元社、全268ページ 精神科医の提示した「PTSD」の症例について、その心理的な状態理解と心理学的な介入の原則について論じた。「境界性人格障害」の事例を提示し、境界性人格障害への心理力動的な理論を紹介しながら、提示された症例の治療経過について論じた。また、チーム連携の実態として、特に「インテークカンファレンス」の意義について論じた。
訳書『フロイトー視野の暗点ー』(2007) ルイス・ブレーガー著、後藤素規・弘田洋二監訳、大阪精神分析研究会訳『フロイト:視野の暗点』里文出版(全601ページ) Breger,L.(2000)”FRUED:Darkness in the Midst of Vision”John Wiley & Sons Inc.の分担訳および全体の監訳。ルイス・ブレーガーはアメリカにおける現代の精神分析的一思潮から、フロイトが論じて現代まで継承されている古典的な考えのいくつかについて検討した。本書では精神分析における古典とされる基本的な考えは客観性の乏しい、実はフロイトの幼児期トラウマへの防衛と関連したフロイトの生き方と関連して生じたものであることを、新しい伝記的資料にもとづき論証した。
『現代社会と心の健康ーライフサイクルを通してー』、大阪府精神保健協議会編 第2章「思春期・青年期のメンタルヘルス、18-26ページ。 青年期のライフサイクル上の就職と結婚、およびそれに直面して生じる不適応について紹介し、対応策について論じた。共生社会という視点からも遠からぬ論題である。
氏原寛他編『カウンセラーのための104冊』、創元社 書評:エーリッヒ・フロム「自由からの逃走」 人が本当の自由に耐えがたく、権威や集団への同一化によって、内的な空虚を補おうとし、しばしば社会的狂気が実現されると論じたフロムの書評。
氏原寛他編『心理臨床家のための119冊』 書評:河合隼雄著「臨床場面におけるロールシャッハ法」、68-69ページ。 左タイトルの書評。著者は臨床心理学を日本で発展させ、教育場面に広めていった功労者である。その研究が残している課題について紹介した。
加藤豊比古編『人間行動の基礎と諸問題』、福村出版 第11章3 思春期・青年期、217-228ページ。 思春期から青年期の心理的な発達課題と危機について、エリクソン,E.H.の理論に準拠して紹介した。エリクソンの理論は、広く青年期にかかわる人たちの基礎的な理解モデルとして必要である。
氏原寛他編『心理臨床大事典』、培風館 項目:「サインアプローチ」、527-528ページ。 サイン・アプローチは、ロールシャッハ・テストの解析法である。スコアの数量、あるいは数量比などを駆使して、臨床診断との相関を探る手法だが、その方法論上の問題点、臨床上の有効性について論じた。
日本精神病院協会雑誌第16巻3号 特集:「精神科医に望む」 心理学を中心として臨床に関わってきたものとして、精神科医への要望を書いた。診療の現場は、主治医とされる医者を中心とした階層構造をもつ。コ・ワーカーとして、医者に期待すること、および現状について述べた。
人文研究第49巻別冊 精神保健の立場から震災援助に参加して、26−29ページ。 阪神・淡路大震災のときのメンタル・ヘルス支援の経験について報告した。ライフラインの確保がままならない状態での、心理的支援のありようについて考えさえられることが多かった。
大阪精神保健福祉第42巻 『心の病』という表現が抱えている問題点についてー『病気』という自己定義をめぐってー、23−25ページ。 医療・福祉の現場で患者教育としてよく使われる「病気とうまくやっていく」という啓蒙がはたしてよいかどうかという問題提起を行った。「病との共生」などの言葉も流布しているが、その内包するものを考えねばならない。極めて、「共生」に近い論題。
加藤伸司他編『社会福祉士養成テキストブック13、心理学』、ミネルヴァ書房 精神分析療法の基礎理論、170−178ページ 社会福祉士養成用に作られたテキストの一項を担当した。精神分析の理論と治療的な方法を、日常的なわかりやすい具体例を沿えて解説する工夫をした。
横井公一監訳、ミネルヴァ書房 ミッチェル,A.&グリーンバーグ,J.『精神分析理論の展開』、(全12章中第8章分担) (翻訳)米国において精神療法に関する論客とされるミッチェルを、アメリカ留学から帰国した若手?の横井を中心に、大阪精神分析研究会のメンバーーが訳出した。精神分析の歴史、その思想的な変遷がよく解り、専門家の間で評価が高い。
神田橋條治監訳、誠信書房 H.ローゼンフェルド著『治療の行き詰まりと解釈−精神分析療法における治療的/反治療的要因』(全13章中第5章と12章分担) (翻訳)英国の対象関係学派のローゼンフェルドは、重篤な精神障害をもつ患者との治療においては常に治療の行き詰まりの危機があることを指摘した。そして、それを克服するときに必要なものを論じた。
館直彦・横井公一監訳、岩崎学術出版 C.ボラス著『精神分析的経験ー事物のミステリー』(全14章の第2章分担) (翻訳)ボラスは英国独立学派の流れにある精神分析家で、その独創的なアイディアが注目され、評価されている。本書は、自由連想という精神分析の方法による無意識の探求において、施西洋の精神が考えることのなかった形式が用いられていることに焦点づけた論考である。

▲このページのトップへ

 
共生社会研究分野